意外と知らない筋トレとテストステロンの真実。Dr. Frenchが語る最強メソッド




目次

序論:筋トレは「ホルモンの科学」でもある

筋トレといえば「筋肉を大きくする」ことが目的だと思われがちです。しかし、近年の研究では筋力トレーニングはホルモン環境そのものを改善し、全身の健康に波及効果をもたらすことが明らかになってきました。その中心にあるのが「テストステロン」です。

テストステロンは筋肉だけでなく、腱や靭帯、骨、さらには神経系にまで作用する「マジックホルモン」と呼ばれる存在です。本記事では、UFCパフォーマンス研究所のディレクターであり、スポーツ科学者として数多くの研究を行ってきたDr. Duncan Frenchが語った「科学的に正しいトレーニングとホルモンの関係」を徹底解説します。


本論

1. 筋トレでなぜテストステロンが分泌されるのか?

Dr. Frenchによれば、テストステロン分泌の引き金となるのは**機械的ストレス(重量)と代謝的ストレス(回数・ボリューム)**です。

  • 男性の場合:主に精巣からテストステロンが分泌されるが、副腎からの急性分泌もある。

  • 女性の場合:精巣がないため、副腎からのみテストステロンが分泌される。それでも筋トレによって十分な量が分泌され、筋肥大や腱・靭帯の強化に効果を発揮する。

つまり男女問わず、筋トレは「アナボリック環境(成長環境)」を体内に作り出すのです。


2. テストステロンを高めるトレーニングプロトコル

フレンチ博士が紹介した代表的なプロトコルがこちらです。

✅ 6×10プロトコル

  • 重量:1RMの80%

  • 回数:10回 × 6セット

  • 休憩:2分

この方法は「強度(重量)」と「ボリューム(総反復数)」を絶妙に組み合わせ、テストステロン分泌を最大化する条件として研究に用いられてきました。

一方で「10×10プロトコル」も検証されましたが、80%1RMでは強度を維持できず効果が落ちるため、6×10の方が実用的で持続可能だとされています。

👉 ポイントは「高重量 × 適度なボリューム × 短めの休憩」です。


3. 強度とボリュームのバランス

筋肥大に重要なのは「強度とボリュームの両立」です。

  • 強度(機械的ストレス):重さそのものが筋肉に刺激を与える

  • ボリューム(代謝的ストレス):繰り返しによって乳酸が蓄積し、代謝的な負荷がホルモン分泌を促す

休憩を長くとりすぎると代謝的ストレスが薄まり、筋肥大のシグナルが弱まります。したがって、2分程度の短め休憩が効果的です。


4. ストレスとホルモンの関係

意外にも「ストレスはテストステロンを下げる」だけではありません。フレンチ博士の研究では、短期的なストレスは逆にテストステロンを増加させることがわかっています。

例えば:

  • スカイダイビング前の緊張

  • 激しいトレーニング前の「やるぞ」という覚悟

このように「ポジティブに受け止めたストレス」は交感神経を活性化し、ホルモン分泌を高め、パフォーマンスを押し上げるのです。


5. 冷水浴(アイスバス)の落とし穴

多くのアスリートが「リカバリーの定番」として冷水浴を利用していますが、実は注意が必要です。

  • トレーニング直後の冷水浴 → 炎症反応を抑え、筋肥大シグナル(mTOR)を阻害する恐れがある。

  • 試合期や連戦中 → 疲労回復とパフォーマンス維持に有効。

👉 結論:オフ期や筋肥大を狙う期間には避け、試合期に限定して使うのがベスト。


6. サウナによる熱適応(Heat Adaptation)

冷水とは逆に、サウナは持久力や体温調整に有効です。

  • 最初は 15分 × 3セット などから始め、最終的に40〜45分耐えられるようにする。

  • 発汗能力が高まり、体重調整や持久力が有利になる。

  • 適応を得るには 8〜10週間前から計画的に導入する必要がある。

つまり「試合直前にサウナだけやっても意味がない」ということです。


7. 栄養戦略と代謝効率(Metabolic Efficiency)

フレンチ博士は「燃料の使い分け」を重視しています。

  • 低強度活動:脂肪を燃料に使えるようにする

  • 高強度活動:糖質を効率よく利用できるようにする

そのための食事法がこちら:

  • 普段は低炭水化物・高脂肪寄り(ケトジェニックに近い)

  • トレーニング前後のみ炭水化物を戦略的に摂取

  • これにより「代謝の柔軟性(Metabolic Flexibility)」が鍛えられる


8. 適応プログラミング(Adaptation-led Programming)

フレンチ博士が最も強調するのは「目的に応じて刺激を使い分けること」です。

  • 筋肥大を狙う → 冷水浴は避ける

  • 試合前に疲労を取りたい → 冷水浴を導入

  • 持久力や体重調整を狙う → サウナで熱適応を鍛える

  • 高強度セッションに挑む → 炭水化物を戦略的に摂取

すべての手法は「いつ・なぜ使うのか」という文脈で考えるべきなのです。


結論:科学に基づいた「ホルモン最適化筋トレ」

Dr. Duncan French の教えをまとめると次のようになります。

  1. **6×10プロトコル(80%1RM × 6セット × 10回)**でテストステロンを最大化

  2. 短期的なストレスは味方。覚悟を持って挑めばホルモン反応も強まる

  3. 冷水浴は試合期限定。オフ期は筋肥大の妨げになる

  4. サウナは8〜10週間かけて適応。発汗能力と持久力を高める

  5. 栄養は「燃料の使い分け」。普段は低糖質、トレーニング前後に炭水化物

  6. すべての刺激は「適応」を目的に。時期と目標で選択せよ

筋トレは単なる筋肉づくりではなく、**ホルモン・代謝・神経までも調整する「全身の最適化」**です。科学に基づいた方法でトレーニングを行うことで、より効率的に体を変えることができるでしょう。